第一章 失恋しちゃった

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私は顔を上げて、その男性を見上げた。 日本人!私は涙が溢れて来た。 「怪我はない?」 「はい」 「血が出てるぞ、俺の泊まってるホテルはすぐそこだから手当をしよう」 「すみません」 日本人と言うだけで私はすっかり気を許した、どこの誰ともわからないのに…… 助けてくれた男性が泊まっているホテルは高級ホテルだった。 「すごい、こんな高級ホテルに泊まってるなんて」 「お前はどこのホテルに泊まってるんだ」 「私、お前じゃありません、水本亜紀です」 「亜紀か、俺は東條理樹、東條ホールディングス社長だ」 東條?私の嫌な記憶が脳裏を掠めた。 でも、それも一瞬の出来事で、この時は気にも止めなかった。 社長?だからこんな高級ホテルに泊まってるんだ。 私は納得した。 そういえば、理樹様って呼ばれていたよね。 「痛い」 「少しは我慢しろ」 「私、痛いのは苦手なんです」
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