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私は顔を上げて、その男性を見上げた。
日本人!私は涙が溢れて来た。
「怪我はない?」
「はい」
「血が出てるぞ、俺の泊まってるホテルはすぐそこだから手当をしよう」
「すみません」
日本人と言うだけで私はすっかり気を許した、どこの誰ともわからないのに……
助けてくれた男性が泊まっているホテルは高級ホテルだった。
「すごい、こんな高級ホテルに泊まってるなんて」
「お前はどこのホテルに泊まってるんだ」
「私、お前じゃありません、水本亜紀です」
「亜紀か、俺は東條理樹、東條ホールディングス社長だ」
東條?私の嫌な記憶が脳裏を掠めた。
でも、それも一瞬の出来事で、この時は気にも止めなかった。
社長?だからこんな高級ホテルに泊まってるんだ。
私は納得した。
そういえば、理樹様って呼ばれていたよね。
「痛い」
「少しは我慢しろ」
「私、痛いのは苦手なんです」
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