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「このチャンスを逃したら、亜紀は一生独身だぞ」
「一生独身?」
「東條亜紀になれ」
そして、私は理樹さんに初めてを捧げてしまった。
忘れられない熱い一夜を過ごし、理樹さんの言葉を信じて朝を迎えた。
「亜紀、ニューヨークにはいつまでいるんだ」
「後二日です」
「それなら、後二日一緒にいよう」
「本当ですか」
私は満面の笑みを見せた。
俺は亜紀に一目惚れをした。
ニューヨークには仕事で来ていたが、自分を見つめ直す為でもあった。
結婚を約束していた彼女が病気で帰らぬ人となった。
途方にくれていた、あれから五年も経つと言うのに、まだ新しい恋に踏み出す勇気が持てなかった。
俺は五年前、悪友と会社を立ち上げるべく奮闘した。
俺が社長で悪友が副社長だ。
副社長の名前は東條健、しかし兄弟でもなんでもない、偶々苗字が同じだった。
だから会社名はすんなり決まった。
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