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第ニ章 捧げちゃった
健はいつも冷静で、俺の判断を注意する役回りだ。
俺は亜紀とニューヨークの街を堪能した。
楽しかった、こんなにも幸せな気分を味わえたのは久しぶりだった。
亜紀は五年前に亡くなった彼女に似ていた。
だから余計に惹かれたのかもしれない。
「亜紀、スマホ出して」
亜紀はスマホを俺に渡してくれた。
連絡先を交換した。
「これが俺の連絡先だ、日本に帰ったら結婚しよう、仕事を片付けたら連絡する」
「本当ですか」
「ああ、亜紀は俺以外の男に抱かれちゃダメだぞ」
「はい」
「それから、またニューヨークに二人で来ような、その時は夫婦として」
「はい、絶対ですよ、約束」
亜紀は満面の笑みを浮かべた。
ニューヨークの最後の夜、俺は亜紀を抱きつくした。
私は運命の人に巡り会い、初めてを捧げた。
そして、結婚する、夢にまで見た好きな人との結婚。
一ヶ月、二ヶ月過ぎても理樹さんから連絡はなかった。
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