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エピローグ
「リンさーん。夕刊だよ~。」
「おう、倫太郎。ありがとうな。」
今日も僕はリンさんへ夕刊を届ける。
というのも、あれからリンさんは僕が届けてくれるなら、と夕刊を購買するようになったからだ。
三枝さんは気の良い人なのか、リンさんのその我儘を快く了承して、僕の配達担当にしてしまった。
え?僕のバイトの日じゃない時はどうするのかって?
それは取り置きされるらしい。って夕刊の意味あるの?って思うけどリンさんにとって夕刊は僕に会う口実みたいなものだからって言ってた。
そんな事言われたからバイトの無い日でもリンさん分の夕刊だけは取りに行ってしまっているのだけれど。
僕がバイトを辞めたら夕刊の購買は止めるって言っていて、三枝さんに申し訳なくてもう少し続けてもらいたいとお願いするつもりでいる。
とはいえ、僕がバイトを辞めるのはまだ先の話になりそうだから当面僕の夕刊配達(リンさん限定)は続きそうだけれど。
「倫太郎…ほら、ちょっとこっち来い。」
リンさんが手招きして呼ぶから、ひょこひょこと近づくとリンさんはニヤリと笑って僕の頬にキスをした。
「ちょっ、リンさんっ!」
「いいだろ。可愛い恋人に挨拶だよ。手が汚れてて抱き締められないんだ。これぐらい許せって。」
こんな外から丸見えの場所で僕にキスをするような破廉恥な人だけど、僕はリンさんが大好きでたまらない。
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