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プロローグ
「なぁ、それ直してやろうか。」
「え?」
「それ、パンクしてんだろう?」
声を掛けられたのは土手沿いの道。後ろから来た原付バイクの邪魔にならないように、とパンクで重くなった自転車を道の端に寄せていた僕の横に、その原付バイクはブルルンッとエンジン音を鳴らして停まった。
「あ、あの…。」
緑のラインが眩しい白地のヘルメットを引っ掛けてその人は笑って言った。
「俺は自転車屋だからな。あっという間に直してやるさ。」
それが、僕、梶 倫太郎と『サイクル小林』の店主、小林 輪との出会いだった。
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