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 すぐに揚がるように拍子切りにしたサツマイモを少し多めに小鍋に入れた油で揚げて、甘い蜜と絡める。僕も好きだけれど甘いもの好きなリンさんのためのおかず。 カリカリとした食感が甘い蜜でちょっとだけしんなりとしてそこがまた美味しい。大学芋って食べるとにっこりしてしまう。  炊飯器で炊いた米は3合。男2人が食べる量としては多過ぎる程ではないだろう。リンさんがどれだけ食べる人なのか知らないけれど流石に一度に3合の米を食べる程じゃないと思う。 「あー出来たけど、どうしようかなぁ~。」  調理で出た洗い物も粗方洗い終わって、僕は引き戸をチラっと眺めた。 階段を降りてリンさんを呼びに行くべきか。リンさんが店を閉めて二階に上がってくるまで大人しくこの場所で待っているか。どちらを選んでも落ち着かない気持ちになってしまうから迷ってしまう。 「出来立ては無理かぁ。」  あんなに僕の料理を楽しみにしてくれたリンさんに出来立てを食べさせてあげたい気持ちはあるけれど、仕事を中断させてまで伝える事でもないように思う。それに僕の料理ごときでリンさんの手を止めさせるのはあまりにも自分勝手な事のように思えた。 「まぁ冷めたら温めればいいんだし。TVでも見せてもらおうかな。」  手持ち無沙汰になった僕はソファーに腰を下ろしてTVのリモコンを探した。ドンとTVの正面に置かれたソファーは男が1人で座るにはあまりにも広々としている高価そうなものでスプリングの感じも少し固めで寛げそうなものだった。 「ひゃぁ、これ気持ちいいかも~。」  グンと足を延ばしてゴロンと横になる。自分が横になっても足がはみ出ないなんて随分大きいソファーだな、と感心していると不意に引き戸が開いてリンさんが入ってきた。 「…なにやってんだ?」 「えっ、いやっ、広いなぁ…わーって…。」  伸びをして猫のような体勢になっていた瞬間を見られて僕は恥ずかしさに赤くなった。リンさんは口もとを手で覆って笑いを堪えていたけれどクンと鼻を利かせてぱぁっと顔を輝かせた。 「倫太郎、もしかしてハンバーグだったりするか?」  その仕草がやっぱり子どもみたいに見えて、僕はソファーから身を起こしながら笑いをかみ殺して「はい」と頷いた。
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