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弁当を包み、マイボトルの飲み物を飲んで一息ついてから、思い切って彼女に聞いた。
「あの、もしかして誰かと待ち合わせしていたんですか?」
同じようにマイボトルの飲み物を飲んでいる彼女は、ハッとしたように動きを止めた。
「ごめんなさい、余計なこと聞いて。でも先週も今日も、誰かを待っているような感じだったから。隣に座っちゃって悪かったかなって」
本当はそんなこと思っちゃいない。紳士的な、良い人を装っただけだ。
一瞬うつむいて、考える様な仕草を見せた彼女だったが、吹っ切ったように顔を上げ空を見てから俺に顔を向けた。
「実は、そうなんです」
なんの穢れもないような笑顔を見せてから彼女は続けた。
「彼と喧嘩してしまって。もしかしたらもうだめかもしれない・・もしももう一度やり直そうって思ってくれたなら、毎週金曜日にこの場所でお昼を食べているから来てほしいって」
「それで・・いや、俺は毎日このベンチで昼を食べてるけど、あ、雨の日以外ね、だけど君に会ったのは先週が初めてだから、おまけに今週も会ったから、ちょっと運命的かなって。
あ、これは冗談だけど、先週も今日も俺が声かけたらハッとして顔を上げてたから、もしかして待ち合わせ相手だと思ったのかなって。そうか、そうだったの・・」
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