友達ごっこはやめた

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 あぁ、なっちゃんが話振るから、やまの手が止まって、反対に口が回る回る。完全にノートのこと忘れて、拓海くんのことで夢中になってる。 「篠原拓海ねぇ。まぁ、かっこいいとは思うけど、別に私は興味ないかな」  今まで言いたくても言えなかったことをサラッと言ったなっちゃんに正直驚いた。 「マ、マジっすか。あのかっこよさが伝わらないとは……」  グハッと言い、やまはバタっと机にひれ伏した。なっちゃんがクスクス笑いながら自分の席へ向かった。 「やまちゃん、手が止まってるよ〜」  なっちゃんの声を聞いて、今度はガバッと身体を起こした。やばいやばい、と再びノートを写し始めた。  なっちゃんは席についた後、近くの友達と談笑している。  わりとなんでもズバッと本心を言えるなっちゃんがかっこよく思える。話を人に合わせなくても、ああやって人が集まってくる。  同じグループじゃないから、ああやって「興味ない」とかはっきり自分の意見を言えるのかな。もしこの三人組の中で、私一人が「拓海くんに興味ない」と伝えたら、私は二人になんて思われるだろう。  『ふーん、そうなんだ』  『え、今まで嘘ついてたの?』  考えただけでなんか胸がザワザワする。やっぱり今までどおり拓海くん推しを演じなければいけない。  頭をブルブルっと横に振って、一瞬でも血迷った自分を振り飛ばした。
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