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明日からどんな顔をして、二人と一緒にいればいいんだろう。「嘘っぽい」と言われたことが、ずっと頭に残っている。私たちの友情さえも「嘘っぽい」と言われている気がして、胸が苦しくなる。職員室へ行かなくてはいけないのに、足が向かない。
「あ、うめちゃん」
手を振りながら前から近づいてくるなっちゃんが笑っている。
「あれ、どうしたの」
私はなっちゃんの笑顔を見たら気が緩んでしまったのか、ぶわっと涙が溢れてしまった。
「嘘っぽい、ねぇ」
私たちは人気の少ない非常階段にいた。なっちゃんは黙って話を最後まで聞いてくれた。
嘘っぽい。自分で口にしただけで、思い出して目が潤んでしまう。一度緩んだ涙腺は、少しのことで視界をぼやかす。なっちゃんが気を遣っちゃうって思うけど、ここまで来たら涙も引っ込みがつかない。
「なっちゃんはいつも言いたいことハッキリ言えるじゃん。うらやましいなって思ってた」
なっちゃんは頬をポリポリと指で掻いた。
「逆に、周りのことをよく見て、人に合わせられるうめちゃんのこと、私はうらやましかったけどね」
はにかむなっちゃんの言葉に驚きを隠せなかった。
「私は思ったことすぐ言っちゃうし、思っていないことはうまく言えないから、周りの人に不快な思いをさせてるんじゃないかって、いつも思ってるよ」
「え〜、不快だなんて思ったことないよ」
「でも実際、私のせいで揉めたこともあるんだよね」
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