友達ごっこはやめた

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 なんだろう。なっちゃんが本音で話してくれるから、私も素直になれるのだろうか。なっちゃんの隣は妙に居心地がいい。 「でも、なっちゃんの周りには、いつもみんな集まってくるじゃん。それはなっちゃんの人柄の良さでしょ」 「なんだよ〜。そんなこと言われたら照れるじゃん。ていうか、もしかして私の方が慰められてる?」  私たちは顔を見合わせると吹き出した。私はなっちゃんのなんでもはっきり言えるところがかっこいいって思っていたのに、なっちゃんにとってはそこが悩みのタネだったなんて意外だった。 「うめちゃんも、こんなふうに二人と話してみたらいいのに」 「え〜! 今までのは嘘だったのかって思われるよ!」  二人の間に心地良いそよ風が吹いている。なっちゃんは頬に触れる横髪を耳にかけた。 「じゃあ、嘘ついてまで友達でいたいの?」  核心をついたストレートな投げかけは、私の心に突き刺さる。串刺しにされた私の心は、次の言葉をうまく引き出させない。 「自分に嘘ついて一緒にいても、辛いだけだよ。だから、私は自分にまっすぐでいたい」  非常階段の手すりを両手で掴み、遠くに見える街並みをまっすぐに眺めながら、なっちゃんは自分の気持ちをはっきりと言った。芯のある横顔は一点の曇りもない澄んだ表情をしている。 「私は素の自分でいられる人と友達でいたい」
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