留学者たちの交流Ⅰ

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       ―Ⅹ.週末の相談Ⅷ 次の週末Ⅳ―    翌日、朔の日の朝、親や保護責任者たちから、今週末の予定を聞かされて、色めき立つ子ら、そして留学者たちだ。 「イエヤ邸…ブドーたちの屋敷?」 頬を染めるシリルの問いに、なんてかわいらしいのかしらと、カヌン・パウラは、大満足だ。 「ええ、そうよ。通り、ひとつ向こうの、遊びに行ったと思うけれど」 「あ、うん!」 「私は、お姉様と、一緒!?」 こちらも、赤く染まる頬がかわいらしいハシアだ。 「屋敷は一緒だけれど、部屋は別かもしれないわね。それか、大きな広間で、空間を小分けするかもしれないわ。見ての、お楽しみよ」 「わあ…」 「まったくの別行動というのは…」 眉根を寄せるセイブには、片目を(つぶ)って見せる。 「レグノリア区の中心地よ。いずれも、(しっか)りとした警備の屋敷ですからね、任せられます。と言うか、私も、お呼ばれしています。部屋は別でしょうが、任せてちょうだい」 パウラの連れ合いであるカヌン・レクスカーマンデル、通称レクスが、頷いて続けた。 「私は、シリルのところに邪魔しようと思うんだ。セイブは、兄君も別の屋敷だから、1人になるが、セスティオ邸だ。家主のロアは、土の宮公でね。土の異能が強いだけでなく、武技にも優れている。甥のカィンと同居中だし、彩石騎士の若い世代は、そちらに集まるのじゃないかな」 「アルも?」 シリルが、少し残念そうに言うので、頼んでみてもいいかもなと言ってやる。 「しかし、既に決まっている顔触れだけでも多いぞ。アルは魅力的な人物だと思うが、ほかの顔触れと親しむことを考えてもいいと思う。どうする?まあ、まだ、朔の日だから、少し考えてみるといい」 「あ、うん」 「ああ、もしかして、シリルのところには、ボルド…が()るのか」 殿下と付け加えるところで、セイブは、踏み(とど)まった。 「ああ、まだ11歳だしな。親しい子らは、皆、イエヤ邸だ。アルシュファイドは、15歳から働く者が出てくるから、その前後で、大人びたりしてくるんだ。だからシリルは、まだ元気に遊ぶ方でいいと思うし、セイブは、少し、仕事のことなど、生き方を考えるような年代と過ごすといいだろう。兄君たちには、大人の過ごし方があるからな。遠慮した方がいい」 「アルが大人?」 疑わしそうにシリルが言うので、レクスならずとも、思わず笑ってしまう。 年代としては、確かにアルシュファイド王国に()いては成人しているし、大人だが、性質としては、もう少し若い。 「ははっ!まあ、そこは、カィンがセスティオ邸に残るんなら、そちらとも考えられる。親しめる者たちによって、年代の違いを越えられるということはあるから、焦らず、今の付き合いに目を向けてみなさい。皆」 シリルとセイブだけでなく、ハシアとカタリナは、レクスの視線を受けて、それぞれ応えた。 なんにせよ、楽しい週末が、やってくる…!
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