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「花咲――って――ギャップの塊――ねー」  隣からの声に顔が引っ張られる。気を引く名詞により、つい耳を傾けてしまう。ちなみに、現在先輩は不在だ。 「でも、めっ――くりしましたよ。だってあん――声出せるのに――っちゃ小さいし、喋んないし。意見すらしないし。でも、あんな人――出来るんだなーって――ました」  滲む無礼に睨みを送ったものの、当人は気付かない。腹は立ったものの、疑問にだけは共感できた。  なぜ、あれほど控えめな先輩が舞台に立つのか。僕には想像もつかなかった。
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