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「……ありがとうございます」
「え? 急にどうしたんだいノア」
「何でもないです!」
キョトンとした純真無垢な顔を向けられ、ノアはバッと顔を背けた。長い髪の間に見え隠れする横顔はほんのり赤い。
「あ、私、動物の様子見てきますね!」
言うが早いか飛び出していくノアの背中を見送り、状況についていけないⅤは「む~……?」と唸りながら、また新しくお菓子を口に放り込む。
その後、ダークマター製造機のⅤが透明クッキーを作るときに使ったせいで台所が大災害の後の惨状と化したことが判明し、ノアはⅤに百枚ほどのサインを書かせた。正座させられたⅤがこっそり見上げたノアの顔は、鬼のように赤かった。
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