Ⅴとノアのハロウィンパーティー

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「……なんでこんなことに」 「いやっほー! はろうぃん、はろうぃんっ!」  いつの間にか紫とオレンジに上塗りされた万国旗が張り巡らされ、ぎりぎりかぼちゃに見えなくもない段ボールの塊が置かれ、ぎりぎりゴーストに見えなくもなくはないテルテル坊主が窓際につり下がったハロウィン仕様のⅤの研究室。  いつもは書類や怪しい実験器具やノアからしたら粗大ごみでしかない機械諸々で溢れているこの部屋も、チョコやキャンディー、カップケーキにプリン、マシュマロ、マカロンと、お菓子が大量に敷き詰められている今はかなりカラフルだ。  全てノアが、ゴールドカードと同じくらいの効力を発揮するⅤの手作りカードを使って無料で買い集めてきたものである。  海のような一面のお菓子の間を泳ぎながらはしゃぐⅤを見て、軽く目眩がするノア。  ちなみにノアは「ハロウィンに仮装しないなんて、制服で海行くようなもんだよ!」という謎のⅤの信念によって、魔女の仮装をしていた。濃い紫色の帽子をかぶり、フリルで彩られた可愛らしい黒のワンピースを身にまとう姿は天使も顔負けの可愛らしさだ。  なお、その視線の先のⅤは、「博士は仮装しなくても十分マッドサイエンティストに見えますよ」というノアの言葉を聞いてから仮装をしない。英語が分からないなりに、マッドサイエンティストを「天才イケメン科学者」と勝手に変換して誉め言葉と受け取っているようだ。 「ノア―、ノアももっと部屋の奥まで来なよー。童心に帰れて楽しいよ!」 「博士はいつも精神年齢乳幼児なのに、これ以上どうやって童心に帰るというんですか」  お菓子を両腕で抱えては紙吹雪のように放り散らして、テンションマックスのⅤ。ノアの切れ味鋭い言葉も聞いていない。
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