Ⅴとノアのハロウィンパーティー

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「さてと……よし、じゃあノア」  一通り騒ぎ終わってからⅤはお菓子の海の中心で立ち上がり、白衣のポケットに手を入れてにっこりとノアに微笑む。幼稚園児が作った方がまだマシな壁の飾りつけを見てこめかみを抑えていたノアは、そんなⅤに気づくと細くため息をついた。続いて、半ば呆れたように笑う。 「……博士、Trick or Treat?」  スタンディングオベーションが起きそうなほど綺麗な発音だ。Ⅴは毎年聞いているその言葉に、ぱっと顔を輝かせて悪戯っ子の顔になった。 「とりーとぉ!」  逆にスタンディングオベーションが起きそうなほど聞くに堪えない発音だ。ノアは慣れているのでもうツッコミもしない。 「今年のお菓子は何ですか博士?」 「ふっふっふ、今年はとんでもないぞ」  Ⅴは泣く子も泣きわめきそうな悪役顔で笑い、ゴソゴソとお菓子の海を漁り始めた。
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