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Ⅴとノアのトリックオアトリート
「あったー!!!!」
数時間後、Ⅴの歓喜の声が響き渡る。ノアは、自分で作った発明品の場所をど忘れして何時間も探す羽目になるⅤの神経を疑う。
そんなノアの心境を知らないⅤは、くるりと振り返るとドヤ顔をきめてみせた。
「さてノア、この世紀の大発明を見てもらう前に、一つ問おう。これまで十数回ものハロウィンを経験してきたのであれば、君は貰ったお菓子を見ながら必ず一度は考えたことがあるんじゃないだろうか_____このお菓子が今すぐ巨大化して、炎を吹いたりビームを出してバトルを始めたらどんなに面白いだろうか、とね!」
「とってもおかしな世界ですね、おめでとうございます」
ノアは満面の笑顔でにこやかにそう告げるが、内容にも声にもこれでもかというほど感情がこもっていない。当然、空気を読むという能力を授けられていないⅤは気づかない。ハイテンションで説明を続けている。
「そんな! 全人類の! 永遠の夢を! 私はついにこんにちは、叶えることができたのだー!!」
「全人類の永遠の夢は博士がまともな発明をすることだと思います」
ついでに言うなら「今日」を「こんにちは」と言い間違えてもいるのだが、国語力が徹底的に欠けているⅤのセリフにいちいちツッコミをするだけの時間はノアにはない。そしてⅤもまた、ノアの冷静なセリフを聞く耳を持っていない。
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