Ⅴとノアのトリックオアトリート

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「……? え、博士何してるんですか」 「仕舞ってるんだよ。失敗作とはいえ自分が作った発明品は捨てられないし、取っておけば今後の発明に繋がるかもしれないからね」  失敗作を捨てない精神だけは博士なのだが、ジェスチャーが意味不明だ。  しかしそれ以上に、ノアが衝撃だったのは。 「ちょっと待ってください、博士が自分の発明を失敗って認めたの、シリーズ七作品目にして初じゃないですか!? 何があったんですか!?」 「失礼なことを言うね、ノアは。失敗作は失敗作だよ。私だって、自分の発明全てが完璧だと思ってるわけじゃないからね」  Ⅴはぶすっとして膨れるが、ノアの頭にはクエスチョンマークが浮かぶ。Ⅴは今まで数々のろくでもない発明品を開発してはきたものの、自分でそれを「失敗」と呼んだのを見たことがない。たいてい、ノアに指摘されて泣きわめく。 「ちなみに今のって何が失敗だったんです?」 「だって心の綺麗な人なら見えるはずなのに、ノアは見えなかったんだろ? じゃあ失敗じゃないか」 「……」  さらりと言われたノアは黙りこむ。
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