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目の前に、尖った塔のような物がいくつか並んだ巨大な建物が見えて来た。白い法衣を着た僧侶達が私の方を物珍しそうに見ている。これがハイブリティアの教会なのか。
「ハイブリティアのサンタプルテス教会です。ここでみんな主に礼拝をしていく」
一神教のプルテスは神さまは一人しかおらず、世の中の全てを作った神さまを「主」と呼んでいるので、それ以外に神さまがいると考える多神教が許せないらしい。だから「主」以外の神さまは神ではなく悪魔で、それを信じる者は悪魔信仰だと訴えているらしい。
何を信じるにしても、お互い神さまに感謝してることは変わらないけど、北ハイブリティアに追いやってまで布教したいという考えには納得がいかない。
「すごく立派な建物なんですね」
「ウイカさんが主に認められたなら、きっとこの町でも救って下さるよ」
「だと、いいんですけど」
「ハイブリティアの戦士、ゴブリン討伐隊のリュイ・ド・レイです。ウイカ・ウィズスミスをお連れ致しました」
リュイがそう言うと、教会の扉がゆっくりと開いた。僧侶たちの列の奥に、一際大きな帽子を被った人がいる。着ている服も僧侶たちと比べて驕奢で輝いて見える。明らかに階級が違う人間だというのがわかる。
「入りなさい、リュイ・ド・レイ」
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