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リュイの後ろをついていくように、ジェーン・ドゥという人物の前に行くと、異端審問が始められる。
「ウイカ・ウィズスミスさんと仰いましたね? これからあなたが魔法使いであるかどうか確かめさせてもらいます」
ジェーン・ドゥが合図をすると、私の回りにいた僧侶たちが群がって来た。次の瞬間、魔術士ギルドのみんながどうして異端審問を嫌がるのかすぐにわかった。
服を脱がされ、体をじろじろと眺められる「悪魔の印と思しき物は見当たりません」「傷や痣もない、ほくろもあるが大きくはないな」悪魔の印があるかどうか徹底的に調べるようだ。こんなことを初っ端からされるなんて、物凄く悔しい。
「では、体の穴に印を隠している可能性もあります。探しなさい」
今度は、耳の穴や鼻の穴、口の中やへそのほうまでまじまじと観察される。お母さんや魔術士ギルドの人たちはこんな仕打ちをずっとされて来たのか。これが正教徒のやる事とは到底思えない!
「どこにも隠してはないようです、ジェーンドゥ 様」
「それなら体に針を刺すまでです。魔術を使うのですから痛みも出血もしない魔術を使う筈です。やってみなさい」
「もういいでしょう」リュイがジェーンドゥを止めた「それでハイブリティア人が何万人亡くなったかご存知の筈です。天秤に乗せるのも、水に沈めるのも余計な死者を増やすだけです」
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