ハイブリティア王国

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「手に職を持つなら、ギルドに入るといい」 「ギルド?」 「私も農業ギルドに入って、そこで各地の情報や畜産物の交換などしていました。以前の話ですがね」 聞いた話と随分違う。ギルドは冒険者がそこで仕事の依頼を請け負い、仲間を募って一緒にモンスターの討伐に出かける場所だと聞いていたけれどギルドを知らない人からすると、そういう認識になるのだろう。 「ハイブリティアでは、どんな仕事があるんですか?」 「男はみんなモンスターを倒す戦士に憧れ志願しますが、中には理容外科医や抜歯屋に、公示人や葬儀告知人をやってる人もいるそうです。蝋燭の灯の番という仕事なんかもあるそうです」 「なんだか給金安そうな仕事ですね」 「ジオラマ作りやからくり人形師なんて技術職もありますが、お嬢さんの名前はなんと申しますかな?」 「ウイカ・ウィズスミスです」 「ウィズスミス、ハイブリティアではあまり聞かない名字ですね。やはり北ハイブリティアの人かも。それはさておきウイカさん、あなたが働くなら居酒屋か、喫湯店(きっとうてん)が向いてるかも知れませんな」 「飲み屋ですか」 「でなければ遊び人になり、吟遊詩人にバカに戯れるだけです。さあハイブリティアはもうすぐですよ」 ハイブリティアの城下町が近付いて来る。あそこには私が行くべき「魔術士が集う場所」がある。そこで「魔法使い」として生きていくにはどうしても表の顔が必要だった。あそこで魔法を口にするとどうなるかは故郷で聞いて来た。しかし緊張してきた。歌でも歌って緊張を和らげなくては。
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