嫌いなアイツ

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 翌日からはさすがにいつもと違う自分を演じ続けるわけにもいかず、凪は業務的に仕事をこなした。  えみりと次に会った時もこの時ばかりは本番をせざるを得なかった。  まだ関節は痛むし、後口の違和感も残ったまま。それでも硬くなった竿を出し入れし、快感を求める。  女体は好きだ。金にしか見えなくても興奮するし、性欲もある。挿入中は自分が思うがままに快感を得られるから楽だし気持ちいいし最高。 「っ……」  そう思っていたはずなのに、いつまで経ってもやってこない絶頂。快感はある。素直に気持ちいいと感じる。なのに、なぜか達することができない。  えみりは長い間凪の下で喘ぎ、絶頂を迎えた。凪はそのタイミングで引き抜くと、顔を隠すようにしてえみりの上に覆い被さり、ギュッと抱きしめた。 「はっ、はぁ……ごめんね、快。私、先にイっちゃった……」 「ん。いいよ。俺も、気持ちよかった」 「うん、私も。でも出せないと苦しいでしょ? 口でしてあげようか?」  甘くふわふわした声でえみりは言う。凪の鼓膜を震わせ、いつもならえみりのテクニックを堪能しようと口角が上がるところだ。  しかし、挿入しても迎えることができなかった絶頂を、彼女のテクニックだけでどうにかできる問題ではない気がした。 「ううん……。今日はいいや。えみりの中、気持ち良かったからずっとこの感覚残しておきたい」 「えー。何それ、快可愛い!」  えみりはきゃっきゃと声を弾ませて、凪の首に腕を回して距離を縮めた。納得した様子に凪は安堵しながらも、同時に至極不安になった。  なんでだ……。いつもならもっと早くイケるのに。えみりの体なら頑張る必要なんかなかったのに……。  寝不足で疲れてんのか。そうだよな……。このところ忙しかったから。  凪はえみりを腕の中に収めたまま、目を爛々とさせ自分に言い聞かせた。ただ、どんなに忙しくてもこんなことは一度だってなかった。その事実が凪の動揺を煽った。
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