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「あっ! やめっ……あ゙ぅっ」
「凪、敏感だなぁ。別に今エッチなことするつもりなかったんだけど」
「うぅー……」
シーツに顔を埋めて凪が泣いているのが見えた。さすがに目を丸くさせたちひろが凪の体を抱えて上を向かせた。
「ごめんね。そんなに泣かないでよ」
優しく頭を撫でるが、凪は鼻を啜って目元を腕に押し付けている。声を押し殺して泣いたまま。
「痛かった……?」
痛みには十分配慮したはずだった。快感しか与えていないはずだとちひろは不安そうに瞳を揺らした。
男としてのプライドも自信もズタズタに引き裂かれた凪は、情けないやら悔しいやらで言葉すら浮かばなかった。
何も言わない凪に軽く息を吐いたちひろは、ようやく凪の手首を解放させると、そのまま自分の腕の中に収めた。
未だに目元を腕で隠したままの凪。自分の胸板に顔を埋めさせるようにしてちひろは優しく抱きしめた。
それからゆっくり背中を撫でる。
「痛かったの? 苦しかった? それとも怖かった? 無理矢理してごめんね」
先程までの激しさとは打って変わって、甘い甘いとろけるような声で凪へと投げかける。背中に回した手は上にあがり、綺麗にパーマがかけられた髪をくしゃっと撫でた。
柔らかな髪の感触が指間に入り込む。
「髪、ちょっと傷んでるね……」
毛先をつまみ、指先でダメージを感じる。優しく擦り、抜けた色まで確認した。
「もう少し暗い色のが似合うよ」
そう言いながら、凪の頭頂部に軽くキスをした。ふわっと甘い香りがちひろの鼻腔を刺激した。これが凪の匂い、そう思っただけでまた下半身が硬く反応しそうだった。
「ねぇ、凪。俺、本当に怖がらせるつもりなかったんだよ。抱きたかったのも単なる興味本位じゃない。まぁ……最初は興味本位だったけど」
凪はまだ溢れ続ける涙をそのままに、ぐっと表情を歪ませてちひろの言葉に耳を傾けた。どんな理由があってこんな地獄に引きずり込んだのか聞いてやろうと思った。
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