嫌いなアイツ

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 自分の意志とは関係なく、何度も射精を繰り返しもう出ないんじゃないかというほど搾り出された。  そんな濃厚なプレイを経験した後じゃ、余計に暫くいいや……と凪も乗り気ではなかった。 「ねぇ、凪。明後日また昼間会いたい」 「いいよ。あ、お泊まり空いてるよ? 一緒にいる?」 「その日、アフターあるから多分間に合わない」 「そっか。仕事終わった後も頑張って偉いね」  凪は優しくえみりの髪を撫でながら言った。まったりした時間は仕事だということを忘れそうなほど居心地がいい。  やっぱり女はいいよなぁ……昨日は、マジで最悪だった。  凪は目が覚めた瞬間、じっと自分を見つめたまま瞬きをしない男の顔にギョッとした。いつまでもメイクをしたままのちひろの顔はやはり美しかったが、同時にコイツは寝てないのかと疑問が湧いた。  凪は全体力を奪われ、意識を手放すようにして眠りに落ちた。起こされることなくぐっすり眠り、一体何時間眠っただろうかと体を起こす。  しかし、途端に訪れる激痛と巨大な石でも積み上げられているのかと思えるほど重たい体。 「いって……」 「あんまり無理しちゃダメだよ」 「誰のせいで……」 「凪が気持ちよさそうに俺を誘うから」 「てめっ……」 「あと40分で時間になっちゃうよ。よく寝てたね」 「あー……マジか」  しっかり寝てんじゃん、俺。こんな怪しい男の隣でよく爆睡できたもんだ。そんなふうに自分に感心しながらホテルを出る準備をした。 「最後にもう1回抱きたかったのに残念」 「っ! 散々抱いただろうが! 次はないって言っただろ!」  不満そうなちひろに大声を上げ、凪は不機嫌そうに顔を背けた。 「まあ、可愛い寝顔見れたからいいや。また会えるし」  ようやくこれで解放されると喜ぶ凪に対し、次の約束でも取り付けたような素振りのちひろ。凪はもう否定することすら面倒くさくなって、聞こえない振りをした。  それから解散するまでちひろはずっと嬉しそうに笑顔を振りまいていたが、凪はずっと眉間に皺を寄せたまま気怠そうにしていた。  手を振るちひろの姿が見えなくなった途端、凪は速やかにちひろのDMを削除し、アカウントをブロックした。 「変態野郎……二度と近寄んな」  唸るようにして低い声で呟いた凪は、本日最初の客がえみりだったことに心底救われたのだった。
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