第一話 やっと会えたね

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「じゃあ、契約内容を言うからね。一、僕の呼び出しに応じて妖力を一回三十ずつ渡すこと。二、僕の指示に従うこと。三、危険な目に遭ったら呼ぶこと。」 「何て何て?もう一回ゆっくり言ってくれ。」  急に早口で言われて理解できなかった。妖術師は先ほどより若干話すスピードを落として再度説明する。 「ほう……なるほど。危険な目に遭ったら呼ぶっていうのは何で?」 「そりゃあ、君に死なれたら嫌だからだよ。僕の妖力供給源がいなくなったら困るから。」  妖術師はにっこり笑って両の手のひらを上にする。俺の妖力を相当当てにしているらしい。 「あと、来てくれたらどんぐりをあげるよ。スダジイの。在庫があればね。」 「本当か!?」  どんぐりは美味しい。俺の大好物だ。特にスダジイのどんぐりは何を置いても手に入れたい代物だ。秋にしか採れないから、もらえるならこれほど有難いことはない。よし、と俺は決心した。つまり俺はこいつの指示に従って妖力を渡せばいいだけ。
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