最初の出会いは半年前

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最初の出会いは半年前

 今年のはじめ、一月も三週間が過ぎたある日のことだった。  僕が、僕の中に湧いた、初めての気持ちを知ることになった日だ。  僕にないものを全てを持っているかの如く現れた、あの人に強い憧れを感じたのだった。  その日は大学が午前中だったので、僕は午後からバイトに入った。そして、出勤後一時間もたたないうちにクレーム対応をしなければならなくなった。  バイト先はバーガーショップ。大学進学と同時に始めたから、まだ一年にも満ちていない。店で提供するポテトフライはセットでも単品でも人気メニューのひとつだ。だから回転がいい。  そのポテトフライが冷めていたとのことだった。ただ、いま怒っている壮年の男性客には記憶がある。  だから僕は──、 「お客様にお渡しした商品は、全て出来たてのご提供でした。自分が支度したので覚えてます!」  僕は自信を持ってそう伝えた。しかし壮年の男性客は冷めたポテトフライを目の前にぶちまけ、触ってみろと騒ぎ立てた。  カウンター端には、無残に散らばったポテトフライ。僕の作った商品がかわいそすぎる。  僕は確かに揚げたてを支度した。だから手渡った時に冷めてるなんておかしいと思うんだ!  ん、待てよ。  会計から三十分は経ってるじゃないか!  レシートもよこさない客だったけど、僕の記憶は鮮明だ。出勤直後の接客だったからよく覚えている。  僕の脳内ではクレーマー認定が色濃くなり、強気なスタンスで、僕は僕の正当性を訴え、相手の不当性に対しては鼻息荒く追求していった。  が。  もう途中から何を言ってるんだか半トリップ状態になってしまい、じゃぶじゃぶ火に油をかけまくっていた。  加えて僕の元々の気弱さが、予想通り“でしょうね”な展開に導いた。
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