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"畜生。私は夢を持ってこの国に来たはずだ…。なのにあんな馬鹿な選択をして、その夢が潰えて、しかもその悔しさの中20年も1人後悔を続ける日々を送るだって? そんなの耐えられるわけがない"
コウジには強がる癖があった。耐えられるわけがないと知りながらも、動じていない振りをして数日間を過ごす。しかしやはり後悔の中孤独に過ごすのはつらかった。早くも耐えかねたコウジはふと庭に目をやる。入所した日から、毎日のように色鉛筆で風景を描いている囚人が同じく孤独に見えたのだ。コウジは彼に話しかけることにした。
「やあ、私はコウジ・イワモト。あんたは?」
その囚人はゆっくり振り返り、笑顔で答えた。
「ぼくの名前かい? スコッティ・ルーカスさ。」
…続く。
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