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二.
「そう、魔女狩りにあったのね、かわいそうに。
流行りの病や国の腐敗を都合良く魔女のせいにして、しかもそれで女たちを好きにして、最低よね」
とにかく私の家にいらっしゃい、とヴィミルはセラを、丘の端に建つ古い物見塔へと誘った。
自分も両親と共に魔女狩りから逃れてここに住んでいるという。
薄暗い塔の中は、しかしながら居室のように整えられていて、穏やかに微笑む若い夫婦がセラを迎え、温かいスープを差し出した。
「つらかったわね。
もう大丈夫、私も父さんも母さんもあなたの味方よ。
この塔も大丈夫、危ない人は誰も来ないわ」
その国一帯では、黒死病という疫病が流行していた。
患った者は皮膚が黒く変色し、ほとんどが発症から三日もすると命を落とした。
人々はこの治療法もわからぬ不気味で恐ろしい病に、いつしか魔女の仕業だとささやき合うようになり、ついには疑わしい女を捕らえては拷問し処刑する蛮行までがまかり通るようになっていた。
セラの父親も黒死病で命を落とし、運良く罹患しなかった母やセラの姉妹たちは教会から魔女と決め付けられ、連れ去られたのだという。
「私は……隣のサラスさんに、こっそり逃してもらえたの……」
涙に声を震わせて伝えるセラを、
「それで一人で山を二つも越えてここまで来たの……幼いのに偉いわ、本当に大変だったわね。
もう大丈夫よ、あなたは今日から私の妹、家族になりましょう。
ずっと大切にするわ」
ヴィミルが固く抱き締めた。
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