13人が本棚に入れています
本棚に追加
六.
毎日、では無かったが、それからもセラは何度も街へ出た。
そしてお遣いと共にいたずらを繰り返した。
いたずらをする度に、指輪から何か熱いものが体の芯に流れ込んで来る感覚を覚え、それが頭の奥にまでじんっと染み響き、
「なんだろ……すごく……気持ちいい……」
そのうずきが、さらにいたずらを助長した。
「でも、ヴィミルは本当に大丈夫なのかな」
いつも、塔へと戻るとヴィミルは必ずどこか怪我をしていた。
腕や足には血の滲んだ包帯を巻き、先日は眼帯までも右目を覆って。
だが怪我とは裏腹にヴィミルは活き活きとしており、
「セラは本当に素晴らしい妹ね。
何があっても必ず私が守るわ」
と、不安げなセラを固く抱き締めたその身長も、なんだか急に伸びている気がした。
最初のコメントを投稿しよう!