Pと私のコイバナ

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 夫たちと離婚はできません。でも、もう気持ちは離れてしまいました。いくら彼らが「濁点」さんと不倫しても責められないし、文句を言っても(せん)()きこと。私自身が彼らに向かって「ばか!」って怒ったら、そこに「濁点」さんがいるんですよ。私が「ぶーたれてやる!」って怒っても、「あっかんべー!」と子供じみた真似をしても、夫たちはそこで「濁点」さんと関係を持っている。それが嫌で言葉遣いを変えたりしたら、何だか私が負けたみたいな気になるでしょう?  夫たちは「濁点」さんと私を手玉に取っているつもりですが、実はそうじゃないんです。彼らが別の人と恋する可能性はゼロに等しい。だって日本人は慣れちゃってる。「は」も「ば」も「ぱ」も難なく言えちゃいますもんね。  逆に私は、アイヌ語然り、ネット用語然り、声優養成所然り、まだまだ恋する可能性がたくさんある。攻略が難しいイケメン文字でも攻略してやりますわ。 「半濁点」の時代が来た、と最近は強く感じています。  言語とは移ろっていくもの。  もしかしたら未来、私は「濁点」さんに勝てるかも知れない。  そう考えたら、わくわくしますわ!                                       (了)
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