Pと私のコイバナ

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 今も昔も、コイバナって盛り上がるものですよね。  でも私の場合、ある日いきなり結婚させられていて、恋を楽しんだ記憶がないんです。  この結婚生活も、もう随分と長くなっていますが、まあその(かん)にも色々ありました。  最初はね、私と彼らは幼馴染みたいな関係で、それぞれ自然に接しており、若かったのもありますけど、ときめきや恥じらいなんて感じていなかったんです。  ええ、口では色々言ってましたよ。それが(のち)に特別な意味を持つとは思っていなかったから、分け隔てなく、私は彼らと一緒に過ごしていたんです。  でも、かれこれ五百年近く前、突然知らない人がやってきて、私の気持ちを全く考えずに(しゅう)(げん)を挙げさせられました。白無垢も儀式も何もなくてね、あくまでその人の都合で結婚させられたんです。  私の夫となったのは、一人じゃありませんでした。いわゆる重婚。私はその日を境に五人の夫をもつ妻となったわけです。その五人は兄弟でした。そして私は、知らないうちに異分子扱いされて、仲が良かった友達からはぐれてしまいました。
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