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「いや……、別に迷惑じゃないけど……」
あたしは、恥ずかしかったけれど、言った。
「えっ?」
紫音くんが驚いた。
紫音くんは、言葉に詰まりながら、言った。
「つ、つまり……?」
「もうっ! 鈍感、ド天然!!! あたしも紫音くんが好きだってこと!」
あたしは、もう半分、やけくそで、叫んだ。
「ホ、ホントに?」
「うん……」
あたしは、急に恥ずかしくなったけれど、答えた。
「やったーー!」
紫音くんは、大喜びして、その場でバク転をして、タンスに頭をぶつけた。
し、紫音くん……。
やはり、ド天然。
しかし、こうして、あたしは、今をときめく人気アイドルグループ『シルキー』の平井紫音くんと、付き合うことになったのだった……!
そして……。
「初デートはどこに行く?」
照れながら訊いたあたしに、紫音くんは言った。
「初……初……初と言えば、初もうでだよね」
今は真夏の最中だ。
紫音くんのド天然は、相変わらずなのだった。
ー END ー
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