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「ま、仕事さえ完遂すれば上司は何にも言わないし? 結構気楽な仕事なんだよ」
「……騎士様のお仕事を気楽っていう方、初めてですよ」
なんだか、彼と一緒にいると頭が痛い。だが……なんとなく、心地いい。
「まぁな。だって俺、いわば天才だし?」
それに、自信満々にそう言う彼は本当に悪い人には見えなかった。そのためなのだろうか。オフェリアはくすっと声を上げて笑う。
「……お前さ」
「……はぃ」
「笑った方がいいぞ。……その表情、すっげー可愛い」
だけど、まさか。そんなことを言われるなんて……想像もしていなかった。
その所為で、オフェリアの顔にカーっと熱が溜まっていく。きっと、顔は真っ赤になっているだろう。
「ははっ、照れたのか?」
「なっ!」
一体誰の所為でこんな風に照れていると思っているのだ。
内心そう思いつつ、オフェリアは頬を押さえる。……熱い。
「か、からかわないで、くださいっ!」
ぶんぶんと首を横に振りながら、オフェリアはそう言うのが精いっぱいだった。
そんなオフェリアの姿を見て、ライネリオはどう思ったのだろうか。唇の端を吊り上げる。彼のその表情は……大層魅力的で。
オフェリアの心臓がどくんと大きく音を鳴らす。
「……まぁ、俺、割と普段はここにいるからさ。……何かあったら、来い。愚痴にくらいなら付き合ってやるからよ」
なんとまぁ、上から目線な言葉だろうか。……と、言うことも出来ないほどにオフェリアは顔に熱を溜めていた。
(こ、この人、天然なの……!?)
じっと俯いて、頬の熱が引くのを待つ。……まぁ、待ったところでそう簡単には引かないのだろうが。
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