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見たことも、話したこともない人の、笑い声が、夜と朝の間、昨日と今日の隙間で響く。路地裏はまだ日が届いてなくて、猫はそこに挟まって鳴いていた。
通りを行く人々は、始発列車に乗り遅れないように足早に街を通る。全く関係のない用事で、その人たちとすれ違った。
通りを行く人たちは、まだギリギリ残っている熱を燃やして最後の会話を盛り上げて、寂しい気持ちを消そうとしてる。みんな始発列車に乗って、それぞれに散っていき、きびしい生活に戻っていく、僕は全く関係のない用事で、その人たちとは何も接点のない用事で、夜と朝の間を過ぎ去った。
目的地に着くと君がいて、約束の場所で眠っていた。僕は緊張しながらその痩せ切った手を、握って、またその人たちの後ろについて、始発列車を目指した。
彼女は来月に北京に行ってしまうから、これがお別れまでの何回かのうちの1つ、言葉につまりながら、たどり着いた駅で、改札の向こう側に君がくぐる時、思い立った言葉を口に出すんだけど、聞こえてるかわからなかった。でも君は少し振り返って、何も言わずに帰っていった。
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