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アネの本性とやばいおじさん
姉の本性を見すぎて、結婚願望もこじらせている。早く結婚して、同棲して、ふわふわのパンケーキを朝から食べるというのが夢だ。そしてその相手はおっさんに限る。
「理久、いろいろとこじらせているからな……」
「うん。姉貴みていると人生こわい。アルファとかオメガとか大変そうだから、ずっと地味なベータでいいって思ったけど。今はなんかもう、オメガになって溺愛されたい」
「ばあか。バースなんて関係ないし、人それぞれだよ。つうか、そんなにおっさんがいいのか?」
「めっちゃいい。めっちゃ好き」
てへへと俺はちいさく笑った。
笑い方が気持ち悪かったのか、努はうわあ……と呟いてぶるぶると身体を震わせた。まあ正常な判断だと思う。
歳の差三十以上で、一回きりの関係(交尾なし)がズルズルと続いているなんて常識的じゃない。もちろん健全な関係を保ち続けているが。
「オメガって嘘ついたままだせ?」
「……だって、ベータっていまさら言えない」
「あ~、あっちも分かってるんじゃね?」
「いや、多分オメガだと思ってる。つうか思ってほしい」
「四十なんだろ?」
「五十五だよ。夏目さんの子どもほしい。ああ、オメガになりたい」
「三十歳以上離れているぞ……」
「いい。そこが好き。どちゃくそ好みだから超最高なんだよ。ちょっと出てきたお腹とか最高。オメガのふりは完璧にやっているんだけどなあ……」
そろそろヒートが近いんだとか、夏目さんのハンカチが欲しいなあとか、俺は巣作りを匂わせて使用済み品をゲットしていた。
夏目さんも優しいから、ちょっとびっくりしながら万年筆などをくれた。持っていたハンカチなんてゲットできた日はもう嬉しかった。オメガになった俺が、夏目さんの番いになってエッチしまくるという妄想は百回くらいして抜いている。
「バースがオメガだったら……。速攻で番いにしてもらうのになあ……」
「りくっ! キケン! 危険! めっちゃこわい。やべえよ、その発想!」
「そうか?」
「そうだよ。まあ、いつかけじめをつけろ。俺の叔父さんも変な子にのめり込んでるって親父が言ってたけど気をつけろよ」
「あ、うん……」
努の父親は大企業の専務で酒を死ぬほど飲ませてくる。たまに酔った勢いでやらかしてしまい、奥さんによく怒られていると聞く。努は前を見つつ、話を続けた。
「なんかさ、親父が酔って変なサイトを教えたみたいなんだけど、ハマってるやばい子がいるみたいなんだよ……」
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