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3カ月前、志保の体に異変が起きた。どういうわけか、身ごもったらしい。志保は保育士をしている。その職場の同僚のママからアドバイスを受け産科へ受診したので間違いない。
父親について、考えられるのは孝之以外にない。多分、孝之が鍵を取りに来たあの日。
未だ孝之の家で見た光景を聞くことができずにいた。あれから孝之の仕事が落ち着いたのか、毎日連絡が入るようになっていた。
意を決して今日、孝之に電話で伝えた。たとえ認めて貰えなかったとしても産む覚悟を決めていた。志保のお腹に宿った大切な命だから。
「志保、本当に本当かい……?! 間違いないのかい……?! あぁ、嬉しい!! 結婚しよう」
……えっ?! 志保は孝之の言葉に耳を疑った。全く予想していなかったこの反応。孝之が嬉し泣きしているのか、鼻をすする音が聞こえる。
「俺さぁ、支社の近くに引っ越したんだよ。あの部屋はすぐに後輩社員が引っ越してきたから、志保に渡した鍵を返しそびれてたんだ」
そんな話、聞いてない!! 絶対、聞いてないよ。引っ越したなら、なんで新しい鍵を渡して貰えなかったの??
「志保にプロポーズする時に渡そうと思っていたんだ。実はそっちへ戻れなくなって、マンションを購入した」
えっ?! 戻れない?
相談もなくマンション買う?? 嘘でしょ?!
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