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それは勿論、二課も分かっているのだろう。だからこそピリピリしている。味方側に裏切り者がいると思っているから。そんなに身構えて警察だとバレないとでも思っているのだろうか。葵はやれやれと肩を落として、3号車を通り抜けてデッキにやってきた。
デッキでは鶴賀と亀梨が二人で話し合っていた。鶴賀は葵を見ると目を丸くして「乗れたのか!」と言う。
「はい、ハッチーさんも乗れましたよ。全速力で走ったことで今動けそうにないですけど」
葵は思い出し笑いをした。性格の悪い笑い方に鶴賀が引きつった表情を見せる。
「これからどうします? あまりに3号車を行ったり来たりしてたら、二課に嫌な顔されそうですけど」
デッキにまた新たな人影がやって来た。振り返ると、少し落ち着いた八村がパソコンを大事に抱えていた。三人が集合しているのを見て、八村も輪に加わる。
鶴賀が腕を組み、渋い顔をした。頭を悩ませている。
扉が開き、女性パーサーが葵たちを見て深々とお辞儀をした。駅弁や飲み物の販売である。綺麗な身なりをしたパーサーはカートを転がしながら、葵たちの隣を通った。葵たちは朝から何も食べていないので、軽くつまめるものを購入するとパーサーは別の車両に移った。
朝食兼かなり早めの昼食を食べながら、葵たち四人は顔を見合わせる。「どうします?」と葵が鶴賀に聞くが、鶴賀は渋い表情を浮かべるだけで何も言わない。
また扉が開き、デッキに新たな人が現れた。二課であることは目つきですぐに分かった。巡回しているのだろう。向こうもすぐに葵たちが噂の《何でも屋》であることを察知したらしい。男は葵たちを見ると、チッと舌打ちをした。そのまま消えていく。
「感じ悪ー」
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