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「なんでだよ」
「邪魔だから」
するとナイスタイミングで亀梨、鶴賀、八村がやってきた。夜野は動きそうにないので、葵は亀梨に手を抑えるように指示すると、彼はすんなりと言うことを聞いてくれた。夜野とは大違いだ。
亀梨が手を抑えている間に、葵は男のスマートフォンを取り出し、暴れたので股間を蹴り上げた。男が悶える。
「ハッチーさん、履歴復元して」
八村がコードを繋げて、スマートフォンをハッキングする。夜野は後ろでそれを見守った。
「できた。この番号がユダ確定」
「さんくす、さんくすー」
葵は勝ち誇った笑みを浮かべた。電話をかけるが、当然出ない。
「じゃ、行きますか」
「俺も行く」
夜野が言う。葵は立ち止まって数秒考えた。
「手柄あげませんよ?」
「手柄なんていらねー。首相を守るだけだ」
「ひゅー、かっけー」
葵は夜野を茶化しながら歩き出す。次の車両に移動し、同じ手法を使った。しかし音が聞こえないまま、ついに首相がいる3号車に到着した。葵は電話を鳴らし、耳を澄ませた。
ニヤッと笑う。
音のする方に向かって歩く。応答なしで電話が切れる。葵はSPの隣に立つ。
「電話に出なくていいんですか、SPさん」
再度電話をかけると、ポケットからブザー音がした。葵とSPは見つめ合う。
SPが勢いよく立ち上がり、葵に襲いかかった。悲鳴が上がる。他のSPたちがすぐに首相を囲んで、安全な場所に移動させようとした。葵はパンチを防ぐが、腕が痛む。葵は空手の有段者ではあるが、このSPは今まで対峙してきた奴らとレベルが違った。さすが首相のSPをやるだけある。葵は後ろに押されると、夜野が葵をキャッチした。
「どいてろ」
夜野がファイトポーズを取る。SPと睨み合い、息を吸うと同時に動き出した。
「わお、キレッキレ」
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