何か

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何か

僕の家の近くには公園がありその公園でよく遊んでいる。 ある日、友達とサッカーをしにやってくると見かけない長身の男がベンチに座っていた。 僕たちはその日はその男に気を止めることもなく家に帰った。 次に公園に行った時も男はそこにいた。 まるで何かを待っているようだった。 ある日、僕はサッカーボールを蹴り上げそのまま木の上に乗っかってしまった。 最近の子供はあまり木登りできる人がおらず仕方なく男に頼んだ。 「あのー、ボール取ってくれませんか」 男は何も言わずに立ち上がりそのまま木に向かいボールを取った。 その時は長身の男の背がさらに伸びた気がした。 それから少し経って友達が新しい遊びを考えた。 どうやらそれは男に頼み事をする、と言うものらしい。 まずは簡単なことから始まった。 写真を撮って、だとか、鬼ごっこの鬼役して、とかだ。 それはだんだんエスカレートしていき最終的に僕はこう頼んだ。 「誰も見たことないようなものを頂戴」 男はやはり無口でそのまま公園から立ち去っていった。 次の日、公園に行ってみると男の姿はなく代わりに手のひらサイズの箱と手紙が置いてあった。 手紙にはこう書いてあった。 『頼まれた品です』 僕はそれを家に持ち帰り結果存在を忘れてしまった。 次の日、朝起きてその箱を見ると箱は空いていた。 最初は、これはなんだ、と思ったがすぐに思い出した。 中身を見ると空っぽだった。 親が触ったのかと思い聞いてみると、そんなものは知らない、と言われた。 今思うと中から『何か』が出ていったのかもしれない。
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