カラオケ

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 夏休み間近の日曜日、俺と勇也は駅前で夢人を待っていた。 「カラオケ行きたいって言ったのは夢人なのに遅刻かぁ」  呆れ顔の勇也。それもそうだが、それより気になることがある。 「まぁいいんじゃないか? それより勇也のスカートの短さが気になるんだけど……」  オフショルダーにミニスカートの白を基調としたファッションに俺は不安になる。ただでさえ勇也の肌は白いのに白い服は更に白い肌を強調させる。いつもより多く見えるすらりとした太ももは目の毒だ。何より夢人に見られるのが気に喰わない。 「んーー。ちょっとだけ夢人くんにサービスしようかなって……。夏祭りの埋め合わせだから……」  申し訳なさそうに俯く勇也。正直、夢人にサービスなど必要ないと俺は思う。ちょっと前に勇也に告白してきた奴だぞ? 心配になる。俺が恋人だと言う訳でもないが。 「ごめん! 少し遅れて!」  待ち合わせの時間に夢人は五分遅れて現れ、謝ると同時に勇也の姿をまじまじ見る。 「天使だ……」 「はいはい。遅れたからもう行こうな!」  夢人の頭をヘッドロックして視線を逸らす。勇也のそんな格好見て、また告白とかしだしたらどうすんだよ。 「行こっか」  勇也は勇也で気にしていないし。勇也は見られ慣れているのだろうが他人の視線もバシバシと集めている。男連中の視線は絶対に太ももに集中している気がする。勇也が男だと知ったら全員、仰天するんだろうな。  風が吹くたびに気が気じゃないが、やはり勇也は意に介さず。 「勇介、どうしてそんなに急ぐの?」  つい勇也の手を引いてグイグイと歩いたのを不審に思われた。 「いや……。勇也への視線、気になるし……」 「僕、平気だよ?」  俺が平気じゃないんだよ。夢人は夢人で口挟んでこないし。少しは勇也を守る素振り見せろよ。告白した相手だろ? 「勇介くんの気にしすぎでしょ? 勇也くんはいつもそんな感じじゃん?」 「違うわ!」  つい夢人の発言に反発した。確かに勇也の露出は多いだろうが、今日はいつもより多いんだ。いつも一番側で見てる俺が言うんだから間違いない。 「そんなに気になる?」  勇也が真っ直ぐに俺を見てくる。 「勇介くんにとって勇也くんは大切な人だもんね」  茶化してくる夢人には、やはり腹が立つ。 「とりあえず早く行こう。今日の勇也はあんまり人目に晒したくないから……」  今日はちゃんと思っている言葉が素直に口をつく。 「そっか」  嬉しそうな勇也に、ニヤニヤと俺らを眺める夢人。感情がごちゃごちゃとする。正直、今日の勇也の姿は俺だって見られて嬉しいのだから。
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