夏休み

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 皆、一斉にドリンクにつける瞬間は静かになる。俺はチラリと勇也を見やる。ピンクの唇がストローをくわえている。勇也がリップをつけていないのは知っているが、それでもその色なのだから。  勇也が俺の視線に気付き、唇をストローから離す。 「何、勇介、僕の顔に何かついてる?」 「いや。可愛いなって」  勇也の顔が真っ赤になる。可愛いなんて言われ慣れているはずなのに。 「勇介のバカぁ。不意打ちはズルいぞ!」  顔を真っ赤にして訴える勇也を見て、夢人はうんうんと頷く。 「そういうのが見たいんだよね!」 「恥ずかしがる勇也が見たいのか?」  うんざりしたように顔をしかめた俺に夢人は違うよと返してくる。 「僕はただ尊いものが見たいだけなんだ。まさかリアルで見られるとは思わなかったからね!」 「何の話だよ?」 「勇介くんは知らなくていいの!」 「勇介のせいで顔熱い!」  勇也は顔に向けてパタパタと手を振っている。  なるほど。不意打ちはありか。こうして俺らの夏休みは幕を開けた。
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