病院の前で

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病院の前で

「大丈夫か?…まだ目覚めないのか。」 そう心配そうに俺を見つめる蓮に俺は少し微笑んでため息をついた。 「理玖がどうして目覚めないのか分からないんだ。特に何か原因は見当たらないらしいし。でも今日、篤哉に付き合って理玖の病室へ一緒に行ったんだけど、あいつが入室した途端に、バイタルが変化するんだ、理玖のやつ。 ちゃんと篤哉の事分かってるみたいに思える。あー、もうどうやってでも良いから理玖を目覚めさせて欲しい…。」 蓮は俺を車に連れて行きながら、俺の肩に手を回して優しく言った。 「篤哉と理玖くんの絆を思えば、きっとそのうち目が覚めるさ。」 俺は蓮の手の暖かさに癒されてクスッと笑うと蓮を見つめて言った。 「ああ、そうだな。あの二人の絆はぶっとい鎖で出来てるからな。あいつ理玖の事すっかり忘れてるってのに、もう理玖に夢中なんだ。まるで眠り姫を見守る王子みたいだって病院で噂されてるらしいぜ?あいつららしいっていうか。」 蓮はクスクス笑って、言い当て妙だなって俺に優しく微笑んだ。俺はそんな蓮の笑顔に何となく不安な気持ちが解けていく様で、蓮の肩に頭をコツっと当てて言った。 「…おれ、蓮が側にいてくれてどんだけ助かったか分かんないよ…。ありがとな。」 丁度その時、蓮の車に辿り着いて俺たちは車に乗り込んだ。俺がシートベルトを嵌めようとすると、蓮の大きな手がそれを邪魔するので、俺は訝しく思って蓮の方を向いた。 そこには熱い目で俺を見つめる蓮が居て、蓮がにっこり笑って言ったんだ。 「ちょいちょい涼介って俺を煽るんだ。普段は素っ気ないくせに、急にデレるから俺もまんまとやられるっていうか。はぁ、これから涼介を実家に送らないといけないとか、罰ゲームか?涼介を食べたくて堪らないのに…。」 俺は蓮の熱さにちょっと腰が引けて、恐る恐る言ったんだ。 「…蓮?何かごめん?」 蓮はクスクス笑って俺を引き寄せて覆い被さって顔をグッと近づけて言った。 「まぁ、お楽しみは後で取っておく。今はこれで我慢するよ。」 そう言って、俺と唇を合わせた。甘い口づけは直ぐに荒々しくなって、俺たちはお互いの甘い舌を味わった。すっかり、身体が熱くなって、俺が蓮を睨むとシートベルトをつけながらウインクした。 「これでおあいこだ。今夜は二人とも疼く身体を慰めながら一人寝するしかないな?」 俺たちがそんな会話をした次の日、理玖は3週間という長い眠りから目を覚ましたんだ。ああ、理玖、お前はいつも俺をハラハラさせるんだな?
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