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「それで、どうしてこういうことになるんですか!」  隣に向かって叫び出したくなりつつも、顔は正面を向いたまま。もちろん聖女スマイルはキープです。 「いや、どうせならいっそ君との幸せな未来のために、もう少しばかり頑張ってみようかなと思ってね」  にこりと笑うスティーヴンさまは、申し分ない王子さまスマイル。ええ、あの時私が一目惚れした庭園の王子さまな輝くばかりの笑顔です。 「くっ、その顔で迫られたら、私が文句を言えないと知っていての暴挙ですか!」 「ジュリアが僕の顔を好いていることは知っているからね。積極的に利用していくよ」 「ひ、卑怯です!」 「僕は君に勝てないんだから、これくらいのハンデがあっても構わないだろう?」  ぼそぼそと会話を交わしつつ、いまだスマイルキープ。なんだったら周囲へ愛想よく、手を振っていたりなんかします。そう、想いが通じあった私たちは、まさかの電撃結婚を果たし、今は市中引き回し……ではなくパレードの最中なのです。 「どうして、私たちが王太子殿下と王太子妃と呼ばれているんですか!」 「あ、もしかして国王と王妃のほうが良かった? 甥っ子はポンコツだけど、兄上の政治的手腕はなかなかいいものがあるから、今すぐ王位を奪う必要はないと思ったんだけど。まあ、君が望むならもうひと踏ん張りしてくるよ」 「結構です!」 「そう?」 「そもそも、何度も言っておりますが、私はスティーヴンさまと結婚したかったのであって、王太子殿下という肩書きに興味があるわけではないんですよ!」 「そうだねえ。君の今までの努力が無駄になるのは嫌だったし、ポンコツな甥っ子に国を任せるのも怖くてねえ」 「王太子殿下も、男爵家のご令嬢も、これからうんと苦労すればいいんです。離宮に閉じ込めたら、それこそお花畑なあのひとたちは幸せに暮らしちゃうじゃないですか」  それってうらやましすぎるでしょうが!   政治的な負担ゼロで、公認ひきこもりとかむしろ私が代わりたい。 「なるほど、傀儡になってもらうんだね。何かあったときの捨て駒には使えるし、政治的に大きな転換をもたらすような政策を実行するときには役に立ちそうだね! さすがは、僕のジュリアだ」 「いや、誰もそんな恐ろしいこと言ってないですし!」  恋愛結婚はできましたが、この先もなかなか波乱万丈みたいです。
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