人間のふりゲーム

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 私は今、人間の振りゲームをしている。ルールは簡単、周りの“人間”たちに、私の本当の姿を知られないようにするだけだ。  ただ、意外とその行為がハードモードだったりする。   「はい、申し訳ありませんでした」 「何度言ったら分かるわけ? 三木さんはもう八年目なんだから、もっとちゃんとしてよ」 「本当にすみません」  頭上に溜め息を浴び、上司が立ち去るのを待って自身も翻る。ミスのあった書類を眺め、パソコンから再度データを引っ張り出した。  人間と言うものは面倒臭い。九十五パーセントの成功より、五パーセントの失敗を取り立ててくる。  私は私なりにーー三木夏実なりに懸命な作成をした積もりだった。その上で発生したミスなのに、態と不注意を働いたかのように言うのだ。  本当は謝罪すらしたくなかったが、普通の人間ならそうするだろう。ゆえに、したにすぎなかった。  三木夏実と言うこの体は、相当な低スペック品だ。小さなミスは予想の範疇に入れて置いてもらわなければ困るーーなんて、周囲は人の中身や能力値など覗こうともしない奴らばかりだが。  溢れかけた溜め息を、口内で相殺する。欲を言えば、もっとハイスペックな体でプレイしたかった。
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