オイラは陽気なレッドキャップ

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 ウシガエルが鳴くようなイビキが聞こえる。  夜の誰も居るハズのない山中の廃工場。  その地下倉庫から響く音だ。  薄暗い地下室で大の字になって眠る一人の男が居た。  身長120cm程の、小太りの老人のようだ。  赤錆色の帽子を目深に被り、口元にはヨダレの跡が残り、手には缶ビールを持っている。汚い服装に汚れた作業ズボン、靴下なしの裸足に靴を履く。  どう見ても酔っ払いだが、こう見えても立派な妖精だ。  赤いスカルキャップを被っていることから、みんなからレッドキャップと呼ばれる。  彼の傍らにてスマホのアラーム音が鳴る。  スマホのタイマー機能だった。  しかし、彼は起きない。  再び鳴り出すスマホ。  それでも起きる気配がない。  三度、四度と電話が鳴るも、やはり起きない。  さすがに五度目ともなるとうるさいのか、唸るような声を上げて目を覚ましたが、振り上げた拳でスマホを叩き割った。 「あ……」  彼は自分が何をしたのか理解し、帽子をずらし片目でスマホを見る。  画面は無惨にも割れており、彼はそのスマホを汚い指で触るが動かない。  舌打ちする彼だったが、すぐに興味を失ったようでスマホを放り投げる。  スマホが壁に激突し、更に悲惨な音を立てていた。  彼は目を覚ますと、大きなあくびをして起き上がる。全身に付いた埃を払うように叩き体を左右に揺らした。  すると、ボトッと何かが落ちるような鈍い音がして床を見ると、そこにはスマホが落ちていた。 「そうだ。もう一個あったんだ」  彼は思い出す。  先程のスマホは一台目だったと、これは二台目だと。 「あれ? さっきのが二台目だったか?」  彼は頭を掻いた。  記憶が曖昧になっているのだ。  仕方ないと諦めて、スマホを拾い上げる。
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