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「ん?あぁ、イチョウか」
先輩も私につられて空を見上げる。
その時、風がブワッと吹いて、黄色の雨が降り注いだ。
一瞬の突風は、せっかく掃き集めた落ち葉を、また散らかした。
学校の敷地内には、正面のイチョウ並木にはじまり、中庭、裏庭。落葉樹がたくさんある。
これじゃあ、いつまでも終わらない。
「美化委員になんて、なるんじゃなかったー」
私のボヤキに、先輩が笑う。
「いいから、さっさと手を動かせよ。いつまでも終わらないぞ」
「……わかってますよぉ」
渋々ながら、再び竹箒で掃き始めた。
ザァッ、ザァッ……
「何でこんなに多いんですか!」
「お前、愚痴るの早すぎ」
先輩は、黙々と竹箒を動かす。
どんどんと集められていく、色とりどりの落ち葉。
ふと子供の頃を思い出して、イタズラ心が湧き上がってきた。
「ふふっ」
いきなり笑い出した私に、先輩は少し怪訝な顔をする。
「……なんだ?」
「何でもありませんよ!さっさとやっちゃいましょ!」
私は鼻歌混じりに掃き始めた。
「なんなんだ?いきなり……」
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