紅葉のしおり

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 少し掃いただけでも、あっという間に落ち葉の山ができていく。 「今は風がないから平気だけど、風でまた飛ばされるといけないからな。袋に纏めよう」  先輩が、屈んで袋の準備を始めた。  ——今だっ! 「先輩っ‼︎」  私は集めた落ち葉を両手でめいっぱいにすくって、先輩の上めがけて、えいっ、と、舞いあげた。  ふんわりと舞いあげたかったけど、思いとは裏腹にバサバサッ、と、落ち葉は先輩に降り落ちる。  先輩は何が起きたかわからないのか、呆然としたままだ。  その表情が、いつもの大人びた先輩と違って、かわいらしくみえる。 思ってたのとは違ったけど、成功! 「ふふっ、どうです?落ち葉シャワー」  先輩は、まだ呆然としていて、ゆっくりと首だけ私の方を見る。  ふりかけた落ち葉を、私はまた集める。  今度はちゃんと掃除のために。 「落ち葉シャワー?」 「子供の頃、やりませんでした?落ち葉かけあったり、集めた落ち葉の上で寝転んでみたり」  私は屈んで、イチョウの葉を一枚拾った。
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