紅葉のしおり

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 あれが、先輩と関わった最初だった。  美化委員は今が一番活動多いけど、この季節が終われば一気に活動が減る。  また、先輩と接する機会がなくなる。  美化委員、なりたかったわけじゃない。  地味でめんどくさい仕事ばかりだし。  でも美化委員にならなかったら、私は先輩と出会う事はなかった…… 「ほら、また手が止まってるぞ」  物思いにふけっていたら、先輩からまた注意された。 「はぁーい」  こうやって注意されるのも、美化委員で一緒だから。  別に注意されたいわけじゃないけど、何もないよりいい。  私がそうやって、のらりくらりと作業している間に、他の委員達が次々と袋にまとめていって、結構な数になっている。 「みんな頑張りましたねー」 「お前がサボり過ぎなんだろう」  肩を揺らしながら先輩が笑った。  最近、こういう顔を見せてくれるようになった。 「……なんだよ」 「何がですか?」 「こっち見て、ニヤけてたから」  え⁉︎  思わず先輩から顔を背ける。  いや、そんな顔した覚えはない。  でもでも、無意識?
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