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教会の鐘が鳴る。
参列者はごくわずか。ケネスとジェシカにとって、本当に大切なひとだけを招待した、こぢんまりとした結婚式だ。
けれど彼らのうちの誰も、このやり直しの結婚式を無駄だとは笑わなかった。ケネスの両親もまたジェシカに一度目の結婚式について詫び、もう一度自分たちのために結婚式を挙げるように勧めてくれた。
結婚式には何も思い入れがないと思っていたけれど、それは自分の心を守るためだったのだろう。ジェシカはケネスとともに選んだドレスをまとい、そう実感した。
思い返してみれば、ジェシカの元婚約者もジェシカの両親に似た棘のある男だった。だからこそ、彼に嫌われないようにと必死だったのかもしれない。もしもあのまま予定通り結婚していたならば、どんな悲惨な人生になっていたことだろう。
もしかしたら、ケネスは職業柄それを理解していたのだろうか。最初からもっとあからさまに好意を示されていたならば、恐ろしさに耐えきれずにジェシカは逃げ出していたに違いない。
『病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?』
『誓います』
今度こそ心からの愛を込めて、ふたりは唇を重ね合わせた。
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