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4月 始業式
彼女との出会いはなんの変哲もなかった
ただ入学式の時に一目惚れしただけ
どこに惹かれたのかはわからない
ツンとしたクールな感じだろうか、それともサラサラと流れているような長い髪の毛だろうか、本当にあまり覚えていない
一目惚れしたのはいいが、クラスは別だったため目で追うことくらいしかできなかった
なんやかんやで1年が過ぎ、彼女に初めて会った春になる
今年こそは、と意気込みながら勢いよく家を飛び出す
「早く行きたいと思うのはいいが、俺を忘れるなよ」
後ろから渋みのある声がかかる
僕の無二の親友である福島だ。
「すまん、完全に忘れてたわ」
そう言いながら、福島の横に並び、一緒に歩く
「それにしてもお前はホントに一途だなぁ……1年経っても一言も話せてないんだったら普通は諦めるもんだろ」
そうため息を吐きながら福島は言う
「いや……まあ…やっぱりなんか諦めれないっていうかちょっとあんまよくわかんない」
確かに1年も話せてないなら諦めるのが普通なのだろうが、何故か諦めきれない
「やっぱ胸か?」
福島が爆弾を投げてくる
「んなわけあるか!でも、なんか小動物感があって可愛いって感じがする、何回も言ってるけど」
小さいものは好きだがロリコンではない。宇都宮さんは同学年だし。
「うん、やっぱキモいな」
福島に辛辣な言葉を投げかけられる
「お前みたいに顔でカバーできたらいいんだがな…」
変なことを言ってもなんだかんだで許されるイケメンになりたかった…
「まあ、諦めろ」
「ひでぇ」
そんなことを言いながら校門をくぐり、クラス分けを見に行く
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