新聞部活動日誌⑧ 意外な道(男子バスケットボール部)

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
「四十人ですか」 「はい。我が男子バスケットボール部の新入部員数は四十人です」 体育館で先輩が練習試合をする傍らで、新入生は筋トレをしていた。誰もが苦しそうだ。 「凄いですね。丸々一クラス分はありますね」 「はい。ありがたいことに」 「しかし、切ないですね」 「どうしてですか」 「あの中からレギュラーになれるのは、ルール上、六人が限界でしょ。そう考えると、何だか、辛くて」 すると、男子バスケットボール部長は新入記者よりも辛そうな表情を浮かべていた。 「いえ、現実はもっと厳しいです。脱落する人もいるだろうし、何より」 「何より?」 「椅子は一つだけです」 「え? しかし、一人だけではゲームは成立しないのでは」 部長はきょとんとした表情を浮かべていた。そして、こう切り出した。 「もしかして、何か勘違いをしていませんか」 「勘違いですか」 「彼らは試合に出るために頑張っているのではありません」 「はい?」 「彼らのほとんどはマネージャー志望ですよ」
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!