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「四十人ですか」
「はい。我が男子バスケットボール部の新入部員数は四十人です」
体育館で先輩が練習試合をする傍らで、新入生は筋トレをしていた。誰もが苦しそうだ。
「凄いですね。丸々一クラス分はありますね」
「はい。ありがたいことに」
「しかし、切ないですね」
「どうしてですか」
「あの中からレギュラーになれるのは、ルール上、六人が限界でしょ。そう考えると、何だか、辛くて」
すると、男子バスケットボール部長は新入記者よりも辛そうな表情を浮かべていた。
「いえ、現実はもっと厳しいです。脱落する人もいるだろうし、何より」
「何より?」
「椅子は一つだけです」
「え? しかし、一人だけではゲームは成立しないのでは」
部長はきょとんとした表情を浮かべていた。そして、こう切り出した。
「もしかして、何か勘違いをしていませんか」
「勘違いですか」
「彼らは試合に出るために頑張っているのではありません」
「はい?」
「彼らのほとんどはマネージャー志望ですよ」
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